2002-04

中国お国巡り



風光明媚な水郷――

浙江省南部の西塘


文/懐 磊
椅子に座って新聞を開く。川の流れの音ももう慣れている。
「上下に影が揺れ、波の底に月があり、行き交う人は水中の天で過ごす」。まさに詩歌の世界。
花を栽培したり、鳥を飼ったり、生活は穏やかだ。

    郷の古い町に行くのは、ぬか雨が来る前がふさわしい。カメラを持って、長年寝かせた酒をすすって町をぶらぶらする。ただ惜しいのは、降りそうだが雨が降らない日が非常に多い。だが、幸いなことに西塘がある。
    西塘は浙江省化嘉善県にある。春秋戦国時代に呉越が争ったところで、「呉根越角」と呼ばれる。元代の西塘は水に依り市となり、繁華な街が形成された。明清時代に西塘は手工業と商業で重要な町となった。光陰矢のごとし、西塘は歴史を走り抜けていった。
    西塘は地勢が平らで、川がいたるところにある。自然環境はきわめて幽雅。9本の川が町を8区画に分け、数多くの橋が架けられている。独特な地理的環境が「橋、横町、回廊、雨よけ」の格別の趣きを醸し出している。
    「小橋があり、水が流れる」。浙江省南部共通の特徴である。しかし、西塘では橋が特に多い。104の小橋は明清時代に造られた。アーチ型の橋は空に掛かる虹のようで、桁橋はフルートを思わせる。橋の上を歩き、「船が橋の下を通る」のを見て人々に思いを馳せる。
    家屋は川に沿って並んでいる。「門の前に街道、家の後ろに川、奥の長い路地が100本余りある」。建物や路地は西塘の歴史を物語っている。122本の路地は幅も長さもそれぞれ異なる。唯一変わらないのは、足元の石板だ。100年の風雪を経て磨がれ、奥深い光を反射し、灰色の壁と黒い瓦に映して古い町の変遷を教えてくれる。

竜の舞もなくてはならない娯楽
伝統的な村芝居
ぬか雨のふる水郷
    浙江省の南部は雨が多い。そのため、独特な建築――廊棚(天井のついた回廊)が発明された。風をふさぎ、雨を避けるため、川岸の人々は門の前にある小さな石板が敷かれた道に天井を造った。その家も回廊でつながっている。水郷特有の建築物だ。西塘には今でも長さ1300mの回廊が残っている。
    1000年にわたる静かでゆったりとした雰囲気は、帰るのを忘れさせるほどだ。周荘、烏鎮(本誌2001年11月号、2002年2月号で紹介)は観光客がお起きが、西塘は自分のペースで緩やかな年輪の中に耽溺している。橋び端や横町の隅で、飴をなめながら孫と遊ぶお年寄りの姿をよく目にした。洗濯したり、野菜を洗ったりしている農家の女性。町そのものが、生活を表現している。静かで穏やかな雰囲気、人々の平凡な暮らしの中にそれが秘められている。浙江省南部の古い町では、もうこうした雰囲気はない。都市から来る者に、純粋さと淡泊な情を感じさせてくれる。
    ユネスコ世界遺産センターのアラン・マランノス顧問は西塘を訪れた時、この町の風情をこう形容した。その情趣は笛のように柔らかで美しく、心を込めて仔細に味わなければならない町だと。
杏黄旗の下に小さな店が並ぶ。
一幅の中国画のように、古風で素朴だ。
有名な路地・石川。216個の石板が敷かれている。最も狭いところで僅か0.8m。
観光コース
午前:陸?銀杏―倪宅―五福橋―倪宅―五福橋―聖堂―江南木彫陳列館―安鏡橋。
午後:北柵街―万安橋―獅子橋―黄酒陳列館―龍橋―煙雨長廊―送子来鳳橋―石皮弄―福堂―西園―薛宅―張正彫芸術館
・ 上海、杭州から列車かバスで嘉善へ。そこから西塘まで約10km。5分間隔でバスが出る。
・ 時間あれば一泊をお勧め。朝と夕方、夜が魅力的。
・ 地方料理も豊富。粽に蓮の葉で包んだ粉蒸肉(厚く切・ ったブタ肉を米の粉や調味料と混ぜて蒸し上げた料理)、嘉善の酒、渡りカニなど。