2003年2月、ユネスコは世界規模で世界地質公園のネットワークを確立した。世界地質公園は世界遺産、人間と生物圏をともにユネスコの管理ネットワークに組み込まれている。
中国は最初にこのプロジェクトに呼応し、しかも積極的にその実施を推進してきた国の一つである。ユネスコの専門家は昨年、中国の「世界地質公園」の候補地8ヵ所を実地視察し、その地質学的価値を十分に認めた。2004年2月13日にパリで召集されたユネスコ世界地質公園専門家審査委員会は厳格な審査を経て、中国河南省の嵩山、安徽省の黄山、江西省の盧山、河南省の雲台山、雲南省の石林、広東省の霞山、湖南省の張家界、黒龍江省の五大連池の8ヵ所を正式に世界地質公園に認定したと発表した。
今回、ユネスコに世界地質公園の認定を申請したのは、中国の上記の8ヵ所のほか、ヨーロッパの17ヵ所とドイツの3ヵ所であった。
地質公園は各地質年代に形成された地質学的遺産で、46億年にわたる地球の変化の歴史を研究するうえで重要な資料である。地質公園は科学的意義と、それぞれに際立った特徴、美しい地質景観を有した自然公園を言う。中国の国土は広く、地質と地理的条件が複雑であるため、世界的にも稀に見る地質景観が広く分布しており、国家地質公園が85ヵ所もある。地質公園の設立は地質形成の痕跡の保護、地質環境の修復、地質生態の再建、地球科学の普及、自然観光、そして地域経済の持続的発展を大いに促すだろう。
2004年6月に中国国土資源部(省)とユネスコの共同主催による第1回世界地質公園大会が北京で開催され、ユネスコの支持を受けた世界地質公園ネットワークのオフィスが北京に設立される。
黄山
黄山と聞けば、誰もが「奇松、怪石、雲海、温泉」を頭に浮かべるだろう。黄山は歴代の文人に愛された詩的な景観で知られるが、第一回の選考で「世界地質公園」に選ばれるほどの科学的価値をも具えている。
黄山は安徽省の南部にある。亜熱帯季節風気候に属し、気温は標高の上昇にしたがって下がる。太陽光線を受ける南斜面と陰になる北斜面の温度差は大きく、局部的に気候条件が変わる特殊な山岳気候を形成している。その特徴は、雲や霧が多く(年間256日)、多湿で(年間平均70%)、降水量が多い(年間平均2394ミリ)ことである。黄山は生物の宝庫でもある。1450種の原生植物が自生しており、中国華東地区の植物宝庫、天然植物園として知られている。黄山はユネスコから世界文化遺産、世界自然遺産、世界地質公園という三つの桂冠を授けられた世界的にも極めて稀な景勝地である。
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雲に包まれた張家界の石峰
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盧山の代表的な地塁式断層塊状山
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丹霞山
広東省韶関市にある丹霞世界地質公園は、中国国家地質地貌自然保護区にも指定されている。赤い砂礫岩で構成された丹霞山は赤く染まった霞のような断崖絶壁を特色としており、「中国の赤石公園」とも呼ばれている。
丹霞山の面積は280キロ平方メートル。赤い山々は「色は渥丹(真紅色)の如く、霞のように輝く」と詠われてきた。丹霞地形とは1930年代に丹霞山を代表として命名された地質類型である。丹霞地形を形成する岩石層は内陸盆地に堆積した赤い屑岩である。後に地殻が隆起し、岩盤が川に切断され、浸食されて、山体が崩れる過程で様々な形をした赤い塊状の岩石が形成された。ここには大小さまざまな石峰、石の砦、石の壁、石の柱など600余りのビューポイントがある。主峰の巴寨峰の標高は618m。地質公園全体はあたかも赤い宝石がちりばめられた彫刻公園のように見える。
丹霞地形は主に中国、アメリカ西部、中欧、オーストリアなどに分布しているが、分布面積は最も広いのは中国である。中でも面積最大の丹霞山はその代表で、形成過程はその典型で、景観も最も美しい。
盧山
長江中流域南岸の江西省九江市に位置する盧山は、北に滔々と流れる長江を臨み、南は煙霧の立ち込める?陽湖に面している。川と湖と山とが一体となって美しい山水画を構成する盧山には、雄大、奇抜、険阻、優美の四つの魅力が具わっている。
1996年12月、盧山景勝地は自然文化遺産としてユネスコの『世界遺産』の指定を受けた。地塁式の断層塊状山の盧山は、外周は険阻で、中心部はたおやかで美しく、河川、湖沼、傾斜地、山峰など様々な地形を備えている。
主要な地質学的遺跡の類型は地層の断面である。ここは中国の「第四紀氷河地質学」を生んだ地である。今から2000数万年前のヒマラヤ隆起運動の晩期に現在のような盧山の断層塊状山が形成された。第四紀氷河期の地質系統が完全に保存されており、極めて高い美学的価値と科学価値を有する。
嵩山
河南省登封市にある嵩山地質公園の総面積は450キロ平方メートル。主な地質類型は地質の断面で、始生代、原生代、古生代、中生代、新生代という35億年以来の五つ地質年代の地層が完全な形で順序良く露出している。
嵩山地質公園には典型的で、系統性のある、しかも希少で再生することの出来ない貴重な地質学的遺跡が集中しており、地殻の変化の法則と地球の変化の過程を研究するには絶好のフィールドである。嵩山地質公園は地質学関係者からは「天然の地質博物館」或いは「地学百科全書」と称えられている。
古くから五岳の一つ、中岳として知られる嵩山には数多くの名所旧跡が散在している。最も有名なものは南麓にある五岳廟の中で規模随一を誇る中岳廟である。中岳廟は秦代に建立され、その後も歴代の王朝が規模の拡大を続け、現在のような膨大な寺院群に発展した。このほか、少林寺、嵩陽書院、嵩岳寺の塔、天文台なども知られている。
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風雨による浸食で形成された石林の岩石
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雲南省の石林
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「地学百科全書」の別名で呼ばれる嵩山 写真/周沁軍
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張家界
張家界砂岩峰林国家地質公園は湖南省張家界市にある。地質公園の総面積は3600キロ平方メートル。主な地質類型は砂岩峰林峡谷と溶岩洞穴で、公園には3000余りの岩崖が直立している。高さ200mを超えるものだけでも1000余りあり、最も高い金鞭崖は350mにも達している。ここの砂岩峰林峡谷には、世界的にも極めて稀に見る重大な科学的価値と観賞的価値がある。
およそ3億8万年前、ここは波涛の逆巻く海であったが、地殻変動により海底が隆起して陸地になった。さらに億万年にわたる雨水の沖積、浸食、自然風化で今日のような砂岩、峰林、峡谷の地貌が形成された。
五大連池
黒龍江省北部の中国国家自然保護区にある五大連池は、中国観光名勝地のベスト40にも選ばれている。平均海抜は250−300メートル、気候は寒温帯大陸性気候に属し、夏の最高気温は34℃前後と暑く、冬は一般にマイナス20℃、最低はマイナス34℃まで下がる。
五大連池では、これまでに14回も火山が噴火している。最早期の火山噴火は130万年前で、280年前に最後の噴火があった。現在でも噴火当時の壮観な様が保存されており、「火山公園」或いは「天然の火山博物館」と呼ばれ、火山地質調査と研究の最良の基地となっている。最後の噴火は1719年―1721年の間で、当時火山の溶岩が河川を塞いで五つの連なった湖を形成した。「五大連池」の名はここから来ている。
雲台山
大自然は人間の思いもよらない芸術品を創造物する。落差380mの瀑布――雲台天瀑、雄大な赤い砂岩の峡谷…………河南省の雲台山にはこうした自然の芸術品が残されている。
河南省の修武県にある雲台山は、太行山の南脈に属する。峡谷、瀑布が多く分布する北方カルスト地形の典型である。
溶岩地形はカルスト地形とも言われる石灰岩層の上に形成された地形である。石灰岩には炭酸カルシウムが多く含まれており、酸性の水で溶解するのがその最大の特徴である。自然界の中の水分と空気中の二酸化炭素とが化学反応を起こして溶岩形成に欠かせない一つの必要な条件――炭酸カルシウムを生成する。その炭酸カルシウムはさらに生物作用で生成された炭酸とともに地下の石灰岩と化学反応を起こす。炭酸カルシウム塩類の岩石中に含まれるカルシウムイオンが炭酸によって転移し、更に地下水で押し流される。このようにして硬そうに見える岩石も、水によって少しずつ溶けてしまうのである。溶岩地形景観はその特徴によって、以下の幾つかの類型に分類される。石芽と石柱を特徴とする石林型。石峰や峰林を特徴とする桂林型。大峡谷を代表とする三峡型。洞窟を代表とする天坑型。
これらの類型のほとんどは、中国南部に分布している。水溶解侵食性炭酸岩は温度と密接な関係があるが、北方中国の気温は低く、溶解・侵食の速度も遅い。それゆえ、雲台山石灰岩破損の主要な原因は、水の参与による化学的変化ではなく、断裂、崩壊など物理的要因による風化で、北方特有の溶岩地形である。
石林
石林は昆明市から120q離れた雲南省昆明市東南部の路南イ族自治区にある。早くは明代(1368―1644)から国内でも有名な景勝地であった。「天下第一奇観」と称えられる面積2万6000ヘクタール石林は、岩石からなる森林である。
石林は風雨の浸食で形成された岩石の林で、地質学的にはカルスト地形に属する。約2億年前にここは茫洋たる大海であった。その海底に堆積していた厚い石灰岩が、その後の地殻変動で地面に露出し、約200万年前に石灰岩の溶解作用で石柱に分離され、更に長年にわたる風雨の浸食で今日のような様々な姿をした石の森林を形成するようになった。ここには奇峰怪石が林立している。樹木のように直立する岩石もあれば、険しい岩壁ようなものもある。高さも40メートルから数メートルとまちまちで、遠望すると、石の大海のように見える。石峰は晴れの日に薄い灰色をしているが、雨の日に黒褐色に変わる。