2004-08

●ステージ&スクリーン



ダンスで少数民族の生活美を表現した『雲南映像』

文/懐 磊  写真/禹 江寧  顧 彬
    

公演に参加したアーティストの70%が農村出身者である。
ステージで使われた小道具の90%が実際の生活用品である。
ダンスは100%農作業をもとにして振り付けされたものである。
それは、農村生活そのままのステージであった。

小さな出演者を指導する楊麗萍氏
雄鶏の衣装を着けて踊るイ族の青年

手を伸ばせば届きそうな青空と、山や花の言葉が聞こえてくるような豊かな自然に恵まれた雲南。ここに住む26の少数民族は、勤勉かつ聡明で、日常の労働作業から種々の歌舞を生み出してきた。彼らの文化は雲南北部高原の「三江並流(金沙江、瀾滄江、怒江の三川が並行して流れる)」の景観のように壮麗で、その歴史も長い。世界のグローバル化が進む今日、如何にして物質文明の影響から、この壊れやすく、貴重な無形遺産を守り、残していくかが危急の課題になっている。
 幸運なことに、この貴重な遺産を守るための人々の努力が続けられている。中国の著名な舞踊家・楊麗萍氏の監修による大型レビュー『雲南映像』は、そうした保護活動の最も華やかなものの一つであろう。
 「雲」、「日」、「月」、「林」、「火」、「山」、「羽」の7場で構成された『雲南映像』は伝統美と現代美を兼ね備えた舞踊作品である。この作品は雲南で発掘された民族文化の精粋である民族舞踊を、新しい芸術構想でアレンジしやもので、各少数民族の勤勉で、素朴で、善良で、純潔な魂を描き出している。
 楊麗萍氏はこの作品に30年に及ぶ舞台生活の蓄積を惜しみなく注いだだけでなく、他の振付師と共に雲南少数民族の郷や山村を15ヶ月にわたって取材して回った。彼女たちは各村々で、その村に伝わる音楽に耳を傾け、その踊りを実際に観て、インスピレーションを受けては、また更なる発掘を続けたという。楊麗萍氏は田畑で働く農民の中から60余名の踊り手を探し出し、彼らの土地に根を張った生活から創作のヒントを得た。衣装、道具、楽器、仮面をはじめ、舞台で使われるすべてのものは、現地の人々の生活で使われているものである。そのため、この煌びやかなステージは「原生態」の別名で呼ばれている。本来の形を留め、生活の真実の感情を描いているためである。

孔雀の舞を踊る楊麗萍氏(左)
ハニ族の芒鼓では五穀と人間の象徴である青草が使われる。芒鼓舞はハニ族の伝統的な祭りの日に踊られるめでたい踊りである。

「彼らは万物に霊が宿ると信じており、人間は天地と調和しながら、万物と魂を通わせて生きるべきだと考えています。彼らにとって舞踊は万物と魂を通わせる一つの方法です。ですから、彼らの踊りは自然や万物に対する感情から生まれたものであり、生命の必要から生まれたものと言えるでしょう。このような魂を持った人にだけ、原生態の意味を表現することができるのです」
楊麗萍氏は、『雲南映像』に登場する群舞の踊り手を見れば、彼らの信仰心を理解できると言う。
 イ族、チベット族、ワ族、ハニ族を始めとする20の少数民族が絢爛たる色彩に彩られた自らの生活をステージ上に展開する。踊り手は本来の自分たちをさらけ出しながら少数民族の労働と愛情を表現するのだ。奔放な肢体の動作、抽象的な画面構成、耳に心地よいリズム、人々の心に直に響く明るい山の歌が人を魂のレベルに回帰させ、生命を躍動させる。
「今にも失われようとしている民間芸術を発掘し、その命を長らえさせて観衆に届け、後の人々に生きた民俗文化博物館を残す」。これは、楊麗萍氏の理想であり、『雲南映像』の真の意義である。純粋な芸術が生み出す圧倒的なインパクトが、『雲南映像』に商業的な成功をももたらした。現在のところ、『雲南映像』は150回演じられ、7万人の観衆が雲南の「原生態」の踊りの魅力を実際に観ている。
 『雲南映像』の成功は、世界中の注目を集め、2004年の夏、楊麗萍氏は出演者を率いてフランス、アメリカ、オーストラリアなどの国を回り、外国の観客に中国舞踊の美を届ける。

ジノー族の太陽鼓鼓舞。この鼓舞は雲南に住んだ古い民族の生殖崇拝を反映している。太陽鼓の面は太陽を、太鼓の胴にある17本の木管は太陽の光芒を表している。
軽快なチベット族の踊り。チベット族の女性の多くはカラフルな衣装を身にまとい、プルと呼ばれるヤクの毛で織った毛織物の肩掛けをしている。両袖を翻して踊る姿は軽やかで美しい。