2004-08

●文化と芸術



雪峰と太陽に育まれたチベット現代絵画

 文/王玉庚
    
神女の峰(バマザシ)

美しい風景を有するチベット。ここに住むチベット族の人々は生命に、敬虔な思いを抱いている。「世界の屋根」という特殊な生存環境のおかげで、チベット絵画は独自の発展を遂げてきた。神秘的で神聖なその風格は、尽きない魅力を放ち続ける。
 抗いようのない神秘の力に動かされるように、1980年代からチベットに一群の芸術家が誕生した。彼らはチベット山脈を越えるより長く険しい芸術の道を今も歩き続けている。彼らはチベットの芸術的特性を基礎にしながら、外界の芸術の養分を吸い、伝統を継承しながら現代に目を向けたチベット色の濃い芸術様式を創り上げてきた。
 2004年、中国李可染基金会の主催する『チベット現代絵画招待展覧会』が開かれ、チベットの著名な画家たちの絵が一般に紹介された。画家たちの画風はどれも個性的で、新鮮。作品には画家たちの豊かで透明な魂の世界が表現され、チベット文化の息吹が強く感じられた。
 余友心は中国伝統の水墨でチベットの霊峰や神湖を描く。彼は細心に色彩を滲ませながら、山々の清浄な空気を描き出し、神秘の世界を生み出していく。彼の絵を見ていると、まるでチョモランマ峰の頂に立ち、汚れのない雪の世界を眺めているように気分になる。
 韓書力は細密画の彩色法とチベットの民間絵画を融合させ、純潔で豊満な質感の仏画を描く。仏の眼差し、手にする花には透き通るような清浄感が漂い、その何ものにも染まらない無垢な精神は、人々を感動させずには置かない。

少年少女(デチェン)
生霊の木(ツェリン・ランジェ)
遥かな風景(ベンバ)
位置を違えたマンダラ(韓書力)
天女(李知宝)

パマザシはチベット族の祭りを描く。画面に様々な姿の精霊を登場させ、ファンタジックな雰囲気の中にチベット族の聡明さと知恵を表現して見せる。
 李知宝は崩れた壁画をモチーフにした絵を得意とする。彼の女性をテーマにした連作は表現法も画風も独特のもので、その色使いと人物像には魔法のような魅力がある。
 ジメチレ、ベンバ、ツリン・ランジェたちはチベットに生まれ育った生粋のチベット族で、豊富な絵画言語を使ってチベットの風俗絵巻を綴る。故郷の美しい景色、風俗がキャンバスの上で、チベット高原の永遠の美しさを謳い上げる。
 デチェンはチベット族唯一の女性画家で、女性特有のソフトな描写で童話に出てくるような鳥、獣、虫、魚を描く。おそらく視力障害児の教育に従事しているためであろう。彼女の絵に描かれる美しい大きな瞳は人々に大きなインパクトを与える。若く天真爛漫な彼女の絵に溢れる明るいリズムは、盲目の子供たちの心の光である。
 東西文化が激しく衝突するグローバル化の現代、足下の世界の喧騒から守られた彼らの絵に宿る純粋な生命力は我々には驚きですらある。彼らは自己の民族文化の自主性を堅持しながら、現代と伝統を結び合わせてきた。このような自信に溢れた芸術実践が、民族文化の多元的発展を促進し、前途を切り開くのであろう。