アマゾンはアマゾン川流域を主とする非常に広大な地域を言う。人類にとっていまだ多くの謎を秘める世界有数の複雑で巨大な複合生態系―アマゾン川流域は、人類が住む地球環境に重要な役割を果たしている。今回の中国2004中新薬業アマゾン科学探険調査では、中国の科学者が初めて組織的に長期間にわたってアマゾン奥地に入り、地理と生態環境という総合的科学調査を行なった。アマゾン流域の総面積は705万平方キロメートル、年間総流量は5500立方キロメートル以上、年間平均流量は21万立方メートル/秒で、世界河川の総流量の1/5を占めている。流域面積の60%が熱帯雨林に覆われたこの地域は、世界でも生物種の最も豊富な地域として知られ、独自の文化をもつアマゾン川流域の原住民・インディオが現在も独特の生活様式で暮らしている。アマゾン川流域は規模においても、質においても地質、地理、水文、気候、生物、人文、経済など数多くの面で貴重な資料を人類に提供してくれている。特に地球の大気還流、水分循環、エネルギーの均衡、熱帯雨林の二酸化炭素の吸収と酸素の供給では、いずれも替わることの出来ない役目を果たしている。その重要性ははるかに国境線を超えており、アマゾンの自然環境が破壊されることは、生物学的損失を招くだけでなく、地球の生態系の安定にも影響をもたらすと言われている。
現在、世界では南米のアマゾン川とアフリカのコンゴ川だけが健全な生態系を保つ大河とされている。アマゾン川はその流量でも、流域面積でも、いずれも世界一を誇っているが、その沿岸には人間の居住地や工場は極めて少ない。アマゾン地域は複雑で、変化が激しいため、数多くの科学者が様々な研究を行い、実験観察ステーションを建設したが、依然として数多くの謎が残されている。
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調査のルートについて検討する調査隊員たち。中央は本文の筆者。
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ブラジルの科学者に伴われてアマゾン支流で水のサンプルを採取する調査隊員たち。右は中国科学院水生生物研究所の聶品所長。
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マノウス市アマゾン大学の水生物研究所で同研究所の科学者たちと学術交流をする調査隊一行
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今回の科学探険調査の目的は、神秘に包まれたアマゾンの地質、地理、自然、動植物、人文などの謎を科学的に解明することである。研究の内容には熱帯雨林の植物と植被、水域生態(河川、湖沼、湿地帯)、水生生物、魚類、陸生動物、新熱帯区の生態系の特徴、アマゾン特有の陸生動物、地質、地理、土壌、気候、水分および現代の地球環境システム、自然保護と生態系の退化情況、原住民の生産活動などが含まれている。
陸路を進むことが困難であるため、今回の科学探険調査隊は主に船で移動することになった。調査隊は排水量300tの3層の調査船をチャーターし、食事も宿泊も船を利用した。隊員たちは調査船に牽引された2隻の小船に乗り、ある時は上陸して科学調査を行い、ある時はボートで河川や湖の水面を調査する。第一段階は8月5日から12日にかけてアマゾン川の本流・ソリモース(Solimoes)川から更に上流へと遡り、また戻ってくるという往復1000qの移動調査を行い、第二段階は8月14日から22日にかけてネグロ川を同じく1000q往復した。この地域の大きな魅力は原始そのままの神秘的な自然にあるが、今日では地球科学という概念から、アマゾンを訪れる科学者が後を絶たない。
面積が数百万平方キロメートルにおよぶ広大なアマゾン川流域の水量は膨大なものである。ここは全体が河川と湖沼とが一体に繋がっていると言ってもよいだろう。見渡す限りのジャングルは人為的破壊が少なく、その大部分は原始の状態のままである。植物資源は世界一の55000種に達し、魚類の種類も多く、多様な生物が見られる。また、この地域ではインディオや現地の人々が自然と調和の取れた暮らしをしている。現在、世界中の科学者が地球の変化に大きな関心を寄せているが、その鍵を握るのがこのアマゾンである。
アマゾンの魅力はその生物種の多様性にあり、生物の多様性はその生命有機能力の多様性を源にしている。河川、湖沼、森林、数多くの河川と森林とが境なく連なるアマゾンの大自然が、その無数の生命を育んでいる。水域を例にして言えば、アマゾン流域の魚類の種類は3000種あると言われているが、実際には少なくともまだ未分類の2000種類が生息していると見られる。国立アマゾン研究所はこの2年間に6種の新種の魚類を確認したが、密林の奥への科学調査が進むにつれ、より多くの新種の魚類が発見されると私たちは信じている。これほど豊富な種、これほど多様な生命形態を有するアマゾンは、生物種の形成と進化の研究には欠かせない重要なフィールドであり、非常に理想的な場所でもある。