針灸の治療原理を説明するには、中国医学の基本理論の一つである「経絡学説」に触れねばならない。中国医学では、「気」を生命活動の原動力とし、人体に流れる「正気」は気の通り道である経絡を通じて全身を循環すると考えている。経絡とは道、連絡を意味し、内には内臓、外には四肢、五官(目、耳、鼻、舌、肌)と、皮毛に連なる。この経絡が流れる体の表面の部位がツボである。針灸はこのツボを刺激して、経絡の流れをよくし、内臓を含む各部分の疾患を治療する。
また、経絡は人体の内部から外部に連なる道でもある。生理機能が失調をきたしたときや病の気が経絡に入り、何らかの症状が現れたときには、経絡の循環経路に圧迫痛や結節などの明らかな反応が見られる。またその経絡が影響する皮膚の部位にも色艶や温度、形状に変化が現れる。その部分の色を診たり、触診したりすることでその病理を診断し、体表の相応する部位に現れた病理変化から問題が発生している経絡と病んだ部分を究明するのである。こうして経絡の循環と治療すべき症状の特性によってツボに施術する。例えば、呼吸器からウイルスに感染し、喉の腫れや痛み、咳、痰など、肺に熱が溜まってしまったときの症状が現れたなら、医師は手にある肺のツボ、その裏にあたる大腸のツボを刺激して治療を行う。
*針灸治療については、ツボの部位、刺激の仕方のみでなく、用具などにも専門知識が必要になるので、必ず資格のある医師の治療を受けねばならない。観光などで、針のセットやツボの説明書を購入しても、素人治療は危険なので、絶対にしないで下さい。