2005-06

●経済レポート



海賊版の締め出しの立ち上がった中国AV製品業界

文/王 蕾
    
 

問題は山積しているが、中国のAV製品市場は成熟を続けている。

2005年の上半期、中国大陸のAV製品市場は平静であった。しかし、この平静の裏には多くの問題が存在していた。長年の間に蓄積した問題にAV企業は頭を痛めている。AV業界にはいったい何が起きたのだろうか?
海賊版は今なお市場の主流に留まっている。
HDVDの衝撃。
インターネットからのダウンロードが正規版の売れ行きに影響を及ぼしている。
バイヤーの購買意欲を誘う人気製品が不足している。
業界の資金操りが思わしくない。
AV製品市場の発展を左右し、打撃を与えるこれらの「病症」に対し、企業側は半ば傍観の態度をとってきた。しかし、市場というものは開発するもので、傍観は解決にならない。システムの調整により規範化されつつあるこの市場で、これらの問題に如何に応対し、解決するかが問われている。

中国でも海賊版の取締はずっと続けられてきた。写真は2005年1月12日午前、天津図書館の前で廃棄すされる不法AV製品。

重要なのは海賊版の取締である
海賊版の問題は、中国大陸のAV製品市場に長期にわたって存在している。製作者と経営者を悩ませるこの現象を取り締まるため、中華人民共和国文化部は2002年に『AV製品市場で期限付きの輸入禁止制度を実施することに関する通知』を公布した。その目的は、AV製品の密輸と不法経営活動を取締り、AV製品の密輸と不法経営者を厳しく処罰して、AV製品市場の規範化を図ることにある。条例の規定を犯した場合は、経営許可証を没収するなどの行政処罰を科することができる。この「輸入禁止制度」は多くのAV企業を安心させている。
取締りを強化し、知的所有権を守るため、中国の文化部は一方で定期的に各種の行動を起こしている。たとえば「知的所有権を守り、権力侵害に反対し、海賊版を取り締まる」ことをテーマとする「全国AV製品市場法制キャンペーン」は、今年ですでに7回目を数える。
他国と同じように、中国に存在している海賊版は確かにAV製品市場に大きな打撃を与え、製作者と経営者の反感を買っている。今年の上半期から、各地の映画館では上映前に海賊版の取締に関する短編映画を上映することになった。人目を引いたこの短編映画は海賊版ディスクを買う行為は窃盗に等しいと訴え、消費者の意識を喚起した。
映画・テレビドラマの音楽制作者も海賊版反対の行動に加わるようになった。例えば、張芸謀監督の『英雄』、『ラバーズ 十面埋伏』などの封切上映では、コピー規制を厳重に守り、観客や記者の録音・録画機材の映画館への持込を厳禁した。目的は海賊版の製作者にチャンスを与えないことにある。この方法を採ったおかげで、街角で売られる海賊版ディスクの画像は著しく粗悪になり、購買者も買わなくなった。以来、この方法は各映画館で継続して実施されるようになった。
各地のAV製品業界も各種「症状」に応じて、次々と利用可能なチャンスを生かし、自己の実力を高めることに励んでいる。さる4月には広州市で「広東視聴城2005春季注文会」が開かれた。これは、城内の140社以上のAV製品出版・発行会社が、伝統AV産業全体の競争力を向上させ、海賊版との決別を宣言し、AV製品市場の健全な発展を推し進めることを目的とする一大キャンペーンである。注文会では卸売りや小売など伝統的な業務のほか、スターを招いてのサイン会や新製品の展示即売なども行われた。広東省の文化発展有限公司の取締役会長・郭子竜氏は、「実を言うと、このような情勢で注文会を開くには、『止むに止まれぬ』事情がありました。正規出版物を販売する業界の自信を回復させ、海賊版に対抗する意思表示のためなのです」と、海賊版問題に対する業界の姿勢を語った。

DVD専門店に対して定期的なチェックをする調査員

2005年2月26日、国家著作権局、ニュース出版総署、北京市人民政府が共催する反海賊版の大型キャンペーンが北京の首都体育館で行われた。

AV製品の出版とWTO加盟後の挑戦
他の産業と同じく、中国はWTO加盟後、各種ルールを厳しく守ってきた。ある関係専門家は次のように指摘している。―AV製品の出版業界は自信を持って、WTO加盟後の新しい状況を研究し、AV産業の発展動向と発生可能な問題を予め研究しなければならない。また、WTO加盟というチャンスを生かして発展を図り、現実を直視してAV製品出版社、AV製品メーカー間の提携を研究し、市場のシェアを拡大して、AV製品市場における本来占めるべきシェアを獲得しなければならない。
WTO加盟後、外国のAV企業の進んだ技術が国内企業の製作理念に影響を及ぼし、その製作の水準を速やかに向上させた。外国資本と株式制の導入、チェーン店制度の発展などもAV製品市場のソフト、ハード両面の環境を改善している。AV製品の出版資源が外国資本と共同するならば、国内外のAV企業は互いに補い合って、共同で市場を開拓し、開発能力を活性化させ、流通と生産のバランスの取れた発展を図り、AV製品の生産要素と資源配置の合理化を実現することができる。
WTO加盟がもたらした公正な競争は、AV製品の出版業界全体の効率を引き上げ、中国のAV市場の長期にわたる健全な発展を促す役割を果たしている。反して、外国のAV製品会社の中国市場への進出も、これを研究し理解しなければならない。これも中国に進出している外資系企業が直面している挑戦である。
海賊版問題はWTO加盟後に現れた問題だが、この難病も快方に向かいつつある。しかも、市場の健全化のためには避けることのできない陣痛であると同時に、チャンスでもある。システム調整中の中国のAV製品市場は壁に突き当たりながらも、その壁を乗り越えながら規範化への道を歩んでいる。